「ホームページのトップ画面にある表題」について。
数学の問題を毎日毎日大量に見ていて、どれも何かしらの問題のおかげで解けていると思う。これすなわち、数学は暗記科目という人の意見である。実際いつも生徒には、頭にあるものをいろいろ回せと言っている。といって、数学は暗記科目だと言い放ったら数学の出来ない人は、より一層増えていくと思う。当塾にいる小学5年生の生徒が、分数の足し算1/3+1/4がようやくでき、その後で分数の足し算引き算の計算練習をし終えた後、1/2+1/3+1/5という問題を出したら、一生懸命教科書でその問題を探していた。結局探せず自分一人で解くことを断念してしまった。私は「分母をそろえれば足せる」「分数は分母と分子に同じ数をかけても等しい」この2つの原理だけで、分数の足し算引き算は出来るといつも言っていた。例えば、前2つを足してから後ろを足してもよいし、3つを一気に分母をそろえて足してもよい。私はこの応用は誰でも必ずできると思い待つのだが、この生徒は自分一人では何もしない。おそらく、2つの分数の足し算1/3+1/4はその生徒なりにパターン化され覚えたのだろう。しかし、3つの分数の足し算は生徒の記憶にはない。算数・数学を暗記科目と言ってしまったら、AIと同様、全く同じタイプをインプットしなくてはならず、記憶できる量から考えると人間はAIに負けてしまう。
また、医学部に合格した生徒の医師であるお父さんと少し話をした時の事。その生徒は数学の問題を写真に撮ったように覚えるので、問題がほんの少し変わっただけでも解けないと言っていた。 (こんな事を言える父親はすごい教師でもあると私は思った。)
5分ももたない小学生がいる反面、この頃長く勉強しても疲れない子も見る。概ね自分の覚えている問題、レベルも本人以下で知っている事を書き出しているだけが多い。当然つっかえるとすぐ聞くし、諦める。算数数学が苦手という人に多いケースである。集中して全力をぶつけるなら、小学生は45分位、大学受験生くらいになっても3時間が限界だと思う。私自身は、毎日5〜6時間次から次へと生徒が持って来る異なる問題(もちろん予習はできない)を解く。つっかえることも当然あり、それを毎日しのいで、指導が終わった時には何も考えられない状態になる。生徒でも終わった後に疲れたと言って帰る生徒を見て安心する。このように、少なくとも私の周りには、いや全国に数学を暗記科目と言ってはいけない人はたくさんいる。以上より数学は暗記科目ではない。
人間は真似る事から始まるのだが、全く同じ事しか出来ないような事はなくしたい。合格者の一言のスペースに随分と長く書いてしまったが、今年は女の子の合格体験記を載せます。指導以外で話しはほとんどした事はないのですが、どうしてこんなに私の言っていた事を実行していたのか不思議です。女の子は一般的に真面目で他人の言った事を守ります。とはいえ、私は真面目だけで勉強する事はいけないと言います。苦労した結果、自分を変えようという本人の気持ちが強かったから上手くいったのだと思う。指導中、私に「ここがダメだ」と言われ、涙をこらえていたのを思い出す。また、国立大前期の試験が終わった翌日から直ぐ、後期の受験校の物理・数学の問題をやり始めていました。(私は何も言わず、いつも通り指導したが、内心前期はダメだったのかと思っていました。)私の教室の標語に「ごちゃごちゃ言わず勉強しだせ」というのがあります。彼女はこんなことまで実行していたのかと思いびっくりしました。後期の試験前に前期の試験に合格したとの電話があった時「よく頑張り続けましたね。」と一言言った。
中学受験生の合格後の一言(本人からの手紙)
今までこの場所で一問一問じっくりと理解し、解いていったことで合格することにつながったと思います。本当にありがとうございました。
Iくん
また、高校受験は都立、私立、大学受験はほぼ全学部に進学者があり、特に医学部には5名も進学しました。当然、失敗した人も何人かいます。私は生徒につられて全力で指導しているだけです。特別な事は何もありません。
2年間ご指導下さりありがとうございました。この2年間で学んだことは、これからの人生においても宝物になると思います。またKMSに通い続けたことは、精神的に辛いことも多い浪人生活において大きな精神的な支えになりました。この先何かにつまづくことがあっても、この2年を思い出して頑張ろうと思います。本当にありがとうございました。先生と出会えたことに心から感謝しております。
〈合格体験記〉
高校生の時は、学校や以前通っていた塾の勉強に追われて、多くの課題をこなし多くの演習量を積む事に一生懸命で落ち着いて納得できるまで考えることなど頭にありませんでした。したがって、物理などは初学の時は難しくて全然概念が理解出来ませんでしたが、理解しようとしてもそれは高校範囲外のことになり解決しないのではないかと感じて丸暗記するしかないと思ってしまいました。
数学も塾では難しい問題を消化不良のうちに次々と沢山やっていくので、理解が遅い私はあまり自分のものにすることができませんでした。また、基礎の理解が疎かになると共に模範解答が全体としてすんなり理解が出来ず(各式は理解できますが)、数学とは塾で習う各模範解答を覚えて、それをほとんどコピーするように部分的につなぎ合わせて答えを書くもので、どの問題も一瞬で答えが出る科目だと思っていました。ネットにもよく「わからなかったらすぐ解答を見るべき」と書いてあるので、それを信じてすぐに解答を見ていました。(本来は少なくとも30分は考えるべきだと思います。そうする事で思考が整理され、自分の解ける問題であれば解答や解答の糸口にたどりつけます。)このように、『考える』勉強法をしていなかった私は、勉強時間や演習量はそれなりに多かったはずなのですが、成績はほとんど上がりませんでした。しかし、KMSで学んでから大きく数学への見方が変わりました。数学の問題を解くというのは本当は、山を登るようなもので、一直線で解答にたどりつくわけではありませんでした。まず問題の意味を理解し、考えられる解き方をいくつか出し、例えば図形問題なら座標・幾何・ベクトル・複素数での解き方、証明問題なら直接示す背理法・帰納法などのうち使えそうなのはどれか、確率なら直接求めるか漸化式を使うか等々、方針が思いつかない時は具体値で実験したりして方針を導き、それらを紙上に書いたり頭で考える事で試行錯誤して、ようやく答えにたどり着くものでした。KMSでは、最初に木須先生自作のテキストの主要な分野から取り組みました。分からない問題は先生の一言程度の数少ない助言を頼りに、自分のペースで思考を整理し、しっかり理解しながら考えるということを繰り返しました。
その中で得られたものは、
@『考える力』
つまり、納得できるまで考えて思考を整理し、物事を理解する力。これは何かを学ぶ時にとても大事な力だと私は思います。他の塾では「勉強」は教えてもらうことができましたが、私が一番知りたかった「勉強の仕方」は掴めませんでした。どの分野においても肝心な「勉強の仕方」さえ身についていれば、十分なレベルまで習得できるはずだと私は思っています。KMSでは「勉強の仕方」として大事なことの1つである「理解するために考える力」を無意識のうちに体得できました。
A『基礎事項の重要性の認識と基礎の本質的理解』
先生自作のテキストは誘導がしっかりしている教育的な問題が集められいる傾向にあり、最後の方の問題以外はそれほど難問と感じる事はなく、このような問題を解いていて難しい入試問題が解けるようになるのだろうかと初めは疑心暗鬼でしたが、基礎を最初に全て確認し直すことで、概念のイメージをクリアにしたり、自分が間違えやすいところを見つけたりすることができました。
B『焦らず量よりも一問一問十分に理解して進むことの重要さ』
先生がよく仰るように、どの分野においてもどうしてそのような公式が出てくるのか、単に暗記するのではなく、徹底的に理解することで、公式を忘れにくくなると共にその本質的理解に基づき、答案を組み立てる時にその公式が使えると自力で判断し、使えるようになると思います。大学入試において、難しい問題も結局は教科書に載っている基礎的な公式や定理・定義を理解していれば十分解けるものだと思います。それを充分に理解して自分のものにするために、問題を解くようにすることが大事だと思います。
C『「先生でも難しい数学の問題は試行錯誤なくして、すぐには正解に繋がる方針が思いつかないことがあるんだ」という発見』
だんだん難しい問題に取り組むようになってくると、先生も一瞬見ただけでは正解につながる方針が立つ事が少なくなってくるので、一緒に考えてくださるという形になりました。このような形で先生が一緒に考えて下さったことで、先生でも数学の問題はすぐに解けないことがあるんだという経験をして数学という科目への見方が変わると共に能動的に論理の矛盾なく考えることが促されました。
D『自力で導く論理、答案への自信』
先生が出来るだけ生徒の解き方を尊重しようとして指導して下さったおかげで、自分なりの答案が書けるようになりました。
E『「テキストに載っている手法が身についていればどの問題も解ける」という先生の言葉による自信』
初学だと何が最も重要で何がそうでないのか分からないので、重要でないところで時間を浪費しがちでした。このような無駄を省くには、受験勉強は受験のプロである先生を最大限頼ることが大事だと思いました。先生に繰り返し指導を受けるうちに自力で導く論理にだんだん自信を持てるようになり、分からないことがあっても考えればわかるという思いを強くすると共に、一回出てきた論理が再び出てきた時は素早く使えるようになりました。直前期には過去問を解いていきました。過去問も難しい問題と同様に先生に助言をしていただきながら答えが出せるまで格闘するので、試験を受ける時にはどの問題も時間をかけたら自力で解けるという自信を持つことができました。
F『受験勉強は「何時間やったか」「どれだけ手を動かしたか」ではなく「どれだけ頭を動かしたか」であるという教訓』
先生がよく褒めて下さったことは学び取る過程での精神的支えになりました。長い時間考えることで一見無駄に時間を過ごしているように思えましたが、長い目で見れば、短時間で成績を伸ばすことができ(東大模試でD判定からA判定に)、東大に合格することができました。
KMSに来てから世界が変わりました。
KMSで数学と物理を通して考える姿勢を身につけることができた事に心から感謝しています。
Oさん
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